今日のマーケティング界で最も重要な言葉の一つが「ストーリーテリング」だが、面白いことに世界最大級の会社の多くでさえ、「ストーリーテリング」と「商品に関する知識の美化」を勘違いしている。その結果、現在のマーケティングのモデルが（そしてマーケッターが）2010年代というよりもむしろ1980年代に根付いている。

実験によると、「ストーリーテリング」はある商品の価値を26倍にまで増加させるというのだから面白い。特に、ブランドや商品がどのように感受されるのかに関して、ソーシャルメディアが大きな役割を担っている時代においてはそうだろう。

筆者であるわたしと小売専門家のマシューメンデルソンによると、真にすばらしい物語をするために、プロのマーケッターやリーダーたちは自らを世界に開く必要があるとのことだ。誰かに自分のブランドや商品を知ってもらうということは、むしろ人と知り合ったりするようなもので、自分たちがどのような道をたどってきたのか、ブランドや商品が作られ今の形にいたるまでに、どのような試練や成功（時として失敗）があったのかを、消費者とシェアする必要がある。「物語ること」が本当にうまい人たちは、そのブランドや商品がどのように生活を変えたかについて、社員や顧客、消費者たちの物語を聞きだしている。マシューはこれを「物語の旅」と呼び、最近出版した本「Ultimate Journey」では、素晴らしい「物語」の基準を打ち立てた企業について書いている。